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最高裁 平成5年11月26日(最高裁判所裁判集民事170号679頁)



【事案】

・当初、当事者が代表者を同じくする会社であったという事情から、賃借人が賃貸人を金銭的に援助するという意図の下に、客観的に適正な賃料額を大幅に超えた高額な賃料が約定。

・その後、時の経過により右の事情が変更し、当事者間に特別な関係があるとはいえない状況になった結果、賃料額が不相当となったとして、賃借人により賃料の減額請求。

・賃貸人は、基礎事情とは契約当事者個人に生じた事態などではなく、その社会一般に影響を及ぼすような性質のものであり、その発生、消滅等が契約当事者の意図と無関係に起こるものであることが要件であるとして上告。



【判旨】

・借地法12条1項【注:借地借家法においては11条1項】の規定は、当初定められた土地の賃料額がその後の事情の変更により不相当となった場合に、公平の見地から、その是正のため当事者にその増額又は減額を請求することを認めるもの。

・事情としては、一般的な経済的事情にとどまらず、当事者間の個人的な事情であっても当事者が当初の賃料額決定の際にこれを考慮し賃料額決定の重要な要素となったものであれば、これを含む。

・賃貸人の主張を排斥、賃借人による賃料の減額請求を容認。



【コメント】

賃料増減額請求の当否の判断においては、一般的な経済的事情のみならず、個人的な事情も考慮されることの留意する必要があります。