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最高裁 平成16年6月29日(判例タイムズ1159号127頁)



【事案】

・土地賃貸借契約

・3年ごとに賃料の改定を行うものとし、改定後の賃料は、従前の賃料に消費者物価指数の変動率を乗じ、公租公課の増減額を加算又は控除した額とするが、消費者物価指数が下降したとしても、それに応じて賃料の減額をすることはない旨の特約。

・原審:本件特約のような賃料の改定に関する特約は、賃料の改定をめぐって当事者間に生じがちな紛争を事前に回避するために、改定の時期、賃料額の決定方法を定めておくものであり、本件特約は、消費者物価指数という客観的な数値であって賃料に影響を与えやすい要素を決定基準とするものであるから、有効。本件特約に基づかない賃借人の賃料減額の意思表示の効力否定。



【判旨】

・借地借家法11条1項の規定は、強行法規であって、本件特約によってその適用を排除することができない。本件各賃貸借契約の当事者は、本件特約が存することにより上記規定に基づく賃料増減額請求権の行使を妨げられるものではない。

・この減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべきであり、本件特約の存在はもとより、本件各賃貸借契約において賃料額が決定されるに至った経緯や本件特約が付されるに至った事情等をも十分に考慮すべき。